身元保証人は保証人とは違う
身元保証人とは、就職や転職など、会社に入社するときの雇用契約における身元保証をする人のことです。
身元保証人は、雇い主との間で、将来被用者が雇い主に与えるかもしれない損害を担保することを契約し、実際に被用者が雇い主に損害を与えた場合には、その損害を担保する責任を負います。
身元保証人は、「身元保証ニ関スル法律」によって、その責任の範囲が限定されています。
身元保証法では、身元保証契約の存続期間を原則3年、長くても5年まで(更新する場合も最長5年)と期限を定めています。通常の保証人にはこのような期限が定められていません。
また雇い主が被用者について、
(1)被用者に業務上不適任または不誠実な行跡があり、保証責任が発生する恐れがあることを知ったとき
(2)任務または任地を変更したことによって保証責任が加重または監督が困難になるとき
には、雇い主は身元保証人にこのことを通知する義務があり、身元保証人は通知を受けるか、または自身でこうした事実を知ったときには将来に向けて身元保証契約を解除することができます。
また、この規定に反し、身元保証人に対して厳しい内容の特約を設けても、効力は無効です。
判例によれば、身元保証人が雇い主から通知を受けなかった場合、保証範囲の負担を軽くすることもできるとされています(東京地判昭44.9.12)。
さらに、被用者が雇い主に損害を与えたからといって、いかなる場合でも、保証人に100%損害を賠償させることができるわけではありません。
本人に故意や重大な過失があったならともかく、軽過失の場合にまで保証人に責任を問うことには無理があるでしょう。
会社には使用者としての責任があるからです。被用者の業務を監督する立場にあるのは、保証人ではなく雇い主(=会社)自身です。会社が本来行うべき監督を行わなかったために発生した損害を保証人に賠償させることは認められません。
身元保証人の責任
身元保証人の責任と賠償額は裁判所が決定することになっています。
実際には、過失による損害については、損害額の2〜7割の範囲で賠償が命じられているようです。ですから、雇い主が被った損害にもよるでしょうが、雇い主が裁判所に訴えるケースは多くはありません。
このように、身元保証人の責任はある程度限定されていますが、それでも厳しい内容であることには変わりありません。軽い気持ちで引き受けることは避けるべきでしょう。
身元保証人を依頼した人物が、雇い主に迷惑をかける存在かどうか、ここが判断のポイントになるでしょう。
なお、学生や賃借人などが与えた損害を担保する保証人も身元保証人とよばれることがありますが、こちらには「身元保証ニ関スル法律」が適用されません。
これらの保証人は、身元保証人と呼ばれることがあっても、通常は、連帯保証契約を結んだ連帯保証人です。
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